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2015年2月25日水曜日

スクランブルエッグ

小さいとき、10年くらいダンスを習っていた。コンテンポラリーダンスというのか、なにを踊ってたのって言われると、先生以外説明できないいろんな動きをする踊りだった。でも、先生の選んでくれる音楽は、いつも自分をしらない世界へ連れていってくれて、テープに焼いては車や家の中で流していた。もらった踊りをみんな全力で愛でていた。

さっきそのときのことを、ふと思い出した。改札に入って、わたしは左にある階段、もうひとり同時に改札をくぐった知らない人は右にある階段へむかった。お互い、自分がいる位置から遠い方の階段を目指したため、一瞬すれちがう瞬間があった。

わたしは、電車から降りるときの改札の位置を考えて階段を選んだけど、その人もなにか理由があったのかもしれない。とにかく、その、わざわざすれちがったときの感触がなんか舞台でダンスしてるみたい!って思った。

自分が小学生低学年のときにもらった踊りのなかに「スクランブルエッグ」というのがあった。ひとりひとりがタマゴの中身で、混ざっていくようすの踊りなんだと言われて(今おもうと、なんだか変なモチーフだ)、振り付けのなかに、ひたすら、絶妙なタイミングで上手の袖から下手の袖へ、下手の袖から上手の袖へ、斜めに縦に、縦横無尽に五六人の少女が行き交いする場面があった。肘は直角に曲げて、しっかりと振りながら、早歩きで、かかとから地面を一歩一歩踏み込む。真っ正面から目線はずらさず、ただ一直線に歩きつづける。そのときの、わたしたちの衣装は各々が用意した黄色い洋服だった。わたしは、黄色いTシャツに、白い半パン、あたまに黄色い帽子をかぶっていた気がする。ほんとにタマゴが混ざっていくようだった。

人とすれちがうとき、それも、なにか互いに意味をもってわざわざすれちがうとき、よくその場面を思い出すのだよなあ

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